当院では栄養療法の基本として「糖質制限」を推奨しています。
糖尿病、脂質異常症、脂肪肝、肥満などの生活習慣病だけでなく、皮膚炎、うつ病などの精神疾患、発達障害などの方も血糖コントロールは大切です。
主食の炭水化物や間食のおやつを減らすことが基本ですが、ポイントは一日を通して血糖値の変動を少なくすることです。血糖値の変動は血糖値スパイクとも言われています。
血糖値スパイクとは、食後に血糖が180以上に上昇し、そのあとインスリンの作用で食後3-4時間で血糖値が50くらいまで急降下することです。夕方になると急激に眠くなったり、倦怠感、イライラがひどい場合は低血糖になっている可能性があります。低血糖になると血糖が下がりすぎないようにアドレナリンやコルチゾールなどのインスリン拮抗ホルモンが分泌されます。これらのホルモンは自律神経のうちの交感神経を刺激し、頭痛や動悸などの身体症状や、イライラ、不安などの精神症状を起こすのです。
また、就寝中に目が覚めやすかったり、朝の目覚めが悪い場合は夜間に低血糖が起きているかもしれません。
血糖値スパイクを防ぐには、野菜やたんぱく質を食べてから最後に炭水化物を少量食べると血糖の上昇を抑えられます。また、食後すぐに早歩きなど筋肉を使う運動をすると血液中の糖分が筋肉に取り込まれて血糖値の上昇を抑えることができます。寝る前の夜食には、おにぎりなどの炭水化物は控えて、ナッツやゆで卵などがお勧めです。
エナジードリンクなどの清涼飲料水、甘い缶コーヒーなどは急激に血糖が上昇するため極力飲まないようにしたいものです。最近ではカロリーオフのジュースも販売されていますので、どうしても飲むならこちらを選択した方が良いでしょうが、人工甘味料が腸内細菌に悪影響を及ぼすとも言われており注意が必要です。
濃縮還元のフルーツジュースは体に良さそうですが、血糖上昇を起こしやすいので、ジュースではなく生のフルーツを少量食べたほうが良いでしょう。
料理に使用する砂糖を、「ラカントS」に代えるのもお勧めです。大手のスーパーには大抵置いてあります。
最近は糖質制限のパンやスイーツも販売されています。
クリニックの近くの「シャトレーゼさん」にも糖質制限コーナーがあり重宝しています。
できることから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。