治りにくくなる前に
「巻き爪」とは爪が横方向に巻いた状態で、ヒールの着用、加齢、歩行の仕方、長期臥床など様々な原因で起こります。一方、「陥入爪」とは巻き爪や不適切な爪切り(深爪など)によって爪が皮膚に食い込んで周囲の皮膚に炎症を起こした状態で、悪化すると不良肉芽を形成して治りにくくなります。また、炎症が持続すると爪が弱くなり割れやすくなります。
巻き爪・陥入爪は歩行困難の原因になることもあり、糖尿病などを合併した足病変のハイリスク患者さんでは切断の原因にもなる可能性もあります。
巻き爪・陥入爪はひどくなるほど治りにくくなるため、症状に気が付いたら早めに医療機関を受診することをお勧めします。
治療方法
巻き爪・陥入爪の治療には、
①保存治療 ②手術治療 ③ワイヤーを用いた矯正治療の3つの治療法があります。
患者さんの爪の状態を診察させていただき、巻き爪の程度、炎症の有無、痛みの程度、発症からの期間などを考慮して最善の治療法を選択いたします。
保存治療
軽度の炎症を伴った陥入爪では、まずはテーピングや抗生剤内服、軟膏塗布により炎症の改善が期待できます。強い痛みを伴っている時は、痛みを解除する目的で局所麻酔下に陥入している爪を部分切除することもあります。
手術治療
陥入爪により炎症を繰り返し不良肉芽がなかなか改善しない場合には、手術治療の適応となります。当院では「フェノール法」による手術を行っています。
手術は局所麻酔下に陥入している爪を根本まで約3~5ミリの幅で切除します。
その後、切除した部分から再び爪が生えてくるのを予防するために爪を作る爪母という部分をフェノール液で処理します。手術時間は麻酔を含めて1趾あたり20分程度です。
爪の幅が狭くなりますが、炎症が高度で痛みは強い方や早く完治を希望される方には手術をお勧めします。
ワイヤーを用いた矯正治療(自費治療)
巻き爪に対しては、「マチワイヤー法」という矯正治療を行っています。保険適応外のため自費治療となります。
マチワイヤー法について
マチワイヤー法は爪に2か所小さな穴を開けて、そこに弾性ワイヤーを通して固定し、ワイヤーのまっすぐに戻る力を利用して変形した爪を矯正する方法です。
当院では「マチワイヤーMD」というニッケル、チタン合金に特殊処理を施した弾性ワイヤーを用いており、強く曲げても回復力が一定で、長期間強い矯正力を発揮します。
爪の弱い方では矯正に伴い爪が割れることが稀にありますので、爪の厚さや硬さに応じてワイヤーの太さを選択します。ワイヤーは複数回使用できますので、2回目以降は料金が安くなります。
-
- 爪の先端から5mmくらいの根本の部分に針で2か所穴を開ける
- 2か所の穴にマチワイヤーを通す
- ワイヤーが爪の端から飛び出さない程度にカットし、ワイヤー刺入部を接着剤で固定する
マチワイヤー法 治療の流れ
マチワイヤー法による矯正治療は、手術のように爪の幅が狭くなってしまったり、変形したりすることはありません。
治療時間は1回15~30分程度で、手術と異なり出血や痛みもほとんどありません。施術当日から入浴、運動もでき、日常生活に支障がありません。
固定したワイヤーは爪の伸びとともに前方に移動するので、施術して約2~3か月後に付け替えを行います。これを約半年から1年間かけて矯正していきます。
費用
マチワイヤー法:ワイヤー料金(1本) | 4,500円 ※1本で約3回使用可能 |
---|---|
マチワイヤー法:処置料(1趾) | 3,500円 |
マチワイヤー法:診察料(受診毎に必要です) | 1,100円 |